研究課題/領域番号 |
10640558
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松本 陸朗 京都大学, 化学研究所, 助手 (20027064)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 表面間力 / 微粒子 / 混合分散 / 表面電位 / 高分子電解質 / ミセル / 安定性 / 溶媒効果 / 混合分散系 / AFM / 粒子分散構造 / 分散系 / 表面電荷 / 対イオン結合 |
研究概要 |
微粒子を用いた新機能性材料開発研究の基礎、混合微粒子分散系の安定性を支配する諸因子を、微粒子分散溶液構造との相関で、表面間力的に調べた。混合分散系の研究に先立って界面動電位法を用いて調べた、固体粒子への高分子電解質の吸着挙動は、種々表面電位の異なる固体粒子を混合分散するために、溶液pHに関係なく等しく高い電位を与へる吸着膜を作るのに効果的であることがわかった。このことは高分子電解質を使って、性質の異なる表面を同質化でき、安定分散のための静電的制御が容易になることを意味する。微粒子安定分散にはしばしば界面活性剤が使われる。そこで、固体表面を高分子電解質で飽和吸着状態に修飾し、その表面に及ぼす界面活性剤イオンの吸着効果を界面動電位と表面間力測定とから調べた。水中における界面活性剤イオンの効果は一般の無機電解質に比べ、対イオン的にはるかに高い吸着効果を示し、濃度とイオンの疎水性度の増加と伴に、高分子電解質で修飾された表面電荷を下げるだけでなく、過剰吸着によって電荷の反転をももたらす。このことは、界面活性剤の使用は安定分散と不安定化の両方の効果があることになり、その使用にあったって濃度と疎水性の両方考慮する必要があることを示す。一方、水の代わりに極性有機溶媒を用いると、界面活性剤イオンは水系で見られた特異な吸着活性はなくなり、むしろ水中における支持電解質と同様の役割を果たすことがわかった。このことは、極性溶媒中で微粒子安定分散に必要なイオン濃度の制御に界面活性剤イオンが使えることを示す。界面活性剤イオンミセルを共存させた、異種粒子混合の安定分散の表面間力的モデル実験では、20nm以下の比較的近接距離で、溶液中ミセル粒子の分散構造から、球状ミセル粒子の介在によると考えられる周期的立体障害反撥力が観察された。これは高分子吸着膜の立体障害力、表面電荷による静電反撥力に加え、別の反発力として使用できることになる。このように、混合分散系の安定性を図るには、表面の高い電位の均質化、適切な界面活性剤種の選択、ミセル粒子の共存による付加的安定化の活用などが重要であると結論できた。
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