研究概要 |
ヒドロシリル化反応あるいはグリニヤール反応によりCl(RSi-R')Cl[ここでRまたはR'はアルキル、アリール、または次のようなエーテル性置換基[-(CH_2)_3-O-(CH_2CH_2O)_m-R,m=0-3,-(CH_2)_3-O-Ph,-(CH_2)_4-O-C_3H_7,-(CH_2)_5-O-C_2H_5,and-(CH_2)_6-O-CH_3]を合成し、これをナトリウムで縮合して対応する新規な極性ポリシランを合成した。殆どが極性を持ちTHF、アセトニトリル、アルコール類などの極性溶媒に可用性となり、これまで知られていなかった溶媒の極性に依存するUVスペクトル変化(ソルバトクロミズム)を示すことを明らかにした。特にオリゴエーテル基を持つポリシラン類は水溶性となり、水素結合を形成してこれまで知られていないソルバトクロミズムを示すことが解った。また、これらのポリシランは側鎖部でLiClO_4と錯体を形成する。固体状態で温度を低下させると、Li/Si比が小さな時には連続的な長波長シフトを、Li/Si比が大きな時は短波長シフトを示す(イオノクロミズム)。 ポリ{ビス(4-プロポキシ)シラン}は水素結合を形成すると、その程度に応じた非連続的なスペクトルシフトを示す。サーモクロミズム挙動との比較によりこの変化は側鎖部のバルキーさが増大した結果、サーモクロミズム転移が固体状態の転移以上の室温にまで上昇した事に起因する事が解った。サーモクロミズムとソルバトクロミズムの比較検討をした結果、これまでに確立されたと思われていたポリジアルキルシランのサーモクロミズム現象には熱力学的な安定性だけでなく速度論的な準安定状態が多数あり、冷却速度を変化させることによって低温でのコンフォーメーションを制御できることも明らかにした。
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