研究分担者 |
DORIS Rau 成蹊大学, 工学部, 嘱託助手
馬場 基芳 東京大学, 物性研究所, 教務職員 (60159077)
RAU Doris Seikei Univ., Dept.Ind.Chem., Res.Associate
ドリス ラウ 成蹊大学, 工学部, 嘱託助手
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研究概要 |
1.半導体と金属錯体の両面からガラスの特性をルミネッセンス分光により研究した。 まず、半導体ナノ結晶を分散させたジルコニア薄膜xZrO2 100-x CdS:Mn2+and Eu3+(X=20,50,80)をゾルゲル法により合成しその10-300Kの温度での発光、時間分解発光(TRS)、寿命を測定しルミネッセンスを研究した。その発光バンドは幅広く全領域は24-13x103cm-1に及ぶがTRSより、バンド端発光(CdS),LMCT中心(ZrO2),表面と関係する深いトラップそして格子点に束縛された局在中心のd-d-(Mn2+),f-f(Eu3+),遷移に分解される。薄膜中の局在中心の発光は通常より一桁短い寿命を示し、組成xに依存する。ピコ秒レーザー励起により、1ns程度の短い寿命成分が検出された。これらナノ結晶の発光特性はバルク結晶と比較して極めて速い緩和過程と温度消光が小さいことに特徴がある。表面と結びついたdeep-centerの解明が望まれる。 2.有機ム無機両化合物の特性を備えたゾルーゲルシリカガラスを開発する目的で遷移金属錯体や希土類錯体をドープしたガラスを合成しその発光特性を1.と同じ分光手段で調べた。用いた錯体は、(a)塩基性酢酸クロム(III)3核錯体、 (b)Cr(III)(AA)3(AA=acetylacetonato),(c)V(III)(AA)_3,と(d)V(IV)O(AA)_2である。クロム(III)イオンのR線発光は焼成温度が150℃までの場合はっきり見られるが、高温焼成では[Cr(Vl)O_4]^<2->錯イオンからのLMCT遷移となる。またV錯体では、高温になると(d)[V(III)(acac)_3]^<9+>→(c)[V(IV)O(acac)_2]^<6+>→[V(V)O_4]^<3->と構造が変化する。Eu(III)(15-crown-5)錯体の場合は、局所結晶場理論を用いてB_0^<(2)>, B_2^<(2)>パラメーターを^5D_0→^7F_1遷移から計算し、ガラス中の錯体の軸対称性の崩壊を考察できた。
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