研究概要 |
(1)実試料測定に適した新しいタイプのイオン選択性電極(ISE)の開発を理論面からサポートするため,見かけの「non-Nernstian」応答を説明するモデルを拡張した.以前のモデルでは同符合のイオンによって生じる応答しか評価できなかったが,今回のモデルでは陽イオン・陰イオン対によって生じる応答をも評価することができるようになった. (2)見かけの「non-Nernstian」応答を説明するモデルの実測定への応用として,ポルフェリンを用いたF^-ISEの応答を観測し,その応用を試みた.このF^-ISEの応答は,通常のISEの応答とは異なるため長い間説明がつけられなかったが,primaryイオン錯体とsecondaryイオン錯体の化学量論が異なることから説明することができた. (3)見かけの「non-Nernstian」応答を説明するモデルを利用して,正電荷を有するイオノフォアを用いた場合のCa^<2+>ISEの熱力学的変数を求めた.この変数を用いて,Ca^<2+>ISEで観測された長期測定でのライフタイムおよび選択性の変化を合理的に説明した.また,選択性の変化を説明する定量的モデルを開発した. (4)更なるISEの理論への貢献として,電荷を有するイオノフォアを用いたりイオンサイトを添加したりした場合のISEの選択性を説明する一般的なモデルを初めて示した.このモデルを用いれば,これらISEの選択性を合理的に最適化することができる.
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