研究概要 |
非水溶液用の陰イオンセンサーの開発と、その熱力学的研究への応用を目的とする本研究課題の研究実績を以下に示す。 (1)ホスト化合物として、フタロシアニン錯体(〔M(pc)〕;(M=Co,VO,Ga)を用い、これを親水性高分子であるポリアクリルアミド(PAA)にアミド結合させて感応素子とし、これを白金ディスクを被覆して電極を構成した。 (2)これらの電極はアセトニトリル(LA)の中のF^-とCN^-に対してNernst応答を、DMAおよびNMP中のF^-near-Nernst反応を、その他の陰イオン(Cl^-,Br^-,I^-,SCN^-,NO2^-,etc.)に対しては、熱力学的応答からはずれた特異的電位応答を示した。 (3)紫外可視吸収スペクトル(UV-VIS)測定により、AN中で〔M(pc)〕とF^-およびCN^-は錯形成し、結果として、このような特異選択的電位応答を示すことが理解できた。 (4)このセンサーのホスト化合物である〔M(pc)〕と、ゲストである陰イオンとの錯形成反応は、アキシャル位置での中心核への配位子交換反応によるものと考察した。 (5)AN中で〔Ga(pc)〕とF^-が1:1の錯体を形成することを実証した。 (6)以上から、この電極の高分子膜と溶液界面における錯形成平衡が、電位差発生機構に主要な役割を果たしていることを証明した。 (7)PAA-〔M(pc)〕電極がAN中のNaFの溶解度積(Ksp)の決定に応用できることを証明した。 (8)PAA-〔Co(pc)〕電極を用いて、ANおよびNMA中のF^-あるいはCN^-と、それら溶媒によりアクセプター数の大きな、即ち、酸性の強い溶媒分子との錯形成定数を求めた。以下に本研究の成果に関する口頭発表のリストを示す。 (1)第59回分析化学討論会(小樽)、講演要旨集、P.15)、 (2)第60回分析化学討論会(弘前)、講演要旨集、P.110、 (3)日本分析化学第48年会(神戸)、講演要旨集、P.243、
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