研究概要 |
今年度の研究実績は,電気化学的手法における両親媒性イオンをプローブとして利用することの有用性を示した以下の5点である. 1.両親媒性電極活性であるFe TMAイオンのカーボンペースト電極への吸着挙動に与える対イオンの影響をストリッピングボルタンメトリーにより調べた結果,吸着には主に2種類の吸着形態があることが分かり,特に高分子電解質の濃縮・測定場としてカーボンペーストが有望であることがわかった.2.PARとFe TMAとのイオン会合を利用したPARの吸着ストリッピングボルタンメトリーを検討し,PARと置換不活性な錯体をつくるコバルトイオンの測定法を確立した,3.両親媒性陰イオンをドープした可塑化PVC電極を用いて,合成高分子陽イオンに対する応答特性を調べ,この種のイオンセンサー高分子陽イオンの測定に応用できることを示し,このイオンセンサーの応答機構についてはFT-IRなどを用いて詳細に検討し,電位決定イオンが両親媒性陰イオンの対イオン(ナトリウムイオン)であることを明らかにした.4.両親媒性陰イオンをドープした可塑化PVC電極を用いて,エタノールに対する電位応答特性を検討し,イオン交換樹脂との併用により,清酒中のエタノールの簡便な測定法を確立した.5.トルイジンブルーに感応するイオンセンサーを用いて,キトサンの電位差コロイド滴定法を確立した.オリゴキトサンのコロイド滴定を検討することで,低分子のキトサンがコロイド滴定に寄与しないことを明らかにして,トルイジンブルーを用いるキトサンのコロイド滴定を特性化した.
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