研究課題/領域番号 |
10640599
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
遺伝
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
松浦 悦子 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (00111691)
|
研究分担者 |
塚本 るみ お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (40293104)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
|
キーワード | ショウジョウバエ / ミトコンドリアDNA / A+T-rich領域 |
研究概要 |
D.melanogasterとその不縁種のミトコンドリアDNA(mtDNA)においては、複製や転写の開始点を含むA+T-rich領域は2種類のリピートエレメントから構成され、エレメント内には種間で高度に保存された配列(保存領域)が存在する。本研究では、A+T-rich領域の一部の塩基配列の決定を試み、melanogaster complexに属する4種7タイプのmtDNAをあわせた解析を行い、A+T-rich領域内の機能的な配列について考察した。 (1)A+T-rich領域中央部分とtRNA^<ile>遺伝子に隣接する部分のそれぞれについて、D.simulans、D.mauritiana、D.sechelliaの3種6タイプのmtDNAを用いて塩基配列を決定した。すべてのmtDNAタイプに、D.melanogasterと共通したリピート構造が見い出されたが、それぞれに挿入配列や短いリピートなどの特徴的な配列がみられた。 (2)D.melanogasterとD.yakubaの配列をあわせて塩基置換について検討したところ、いくつかのmtDNAタイプの保存領域においては、塩基置換が加速している傾向が見い出された。この加速は、保存領域には何らかの機能があり、塩基置換によってその機能的な制約が消失したためと考えられる。 (3)保存領域内に形成されるステムループ構造については、二次構造検索プログラムによる予測と、クローンDNAにおけるS1ヌクレアーゼの認識部位が概ね一致した。さらに、タイプIIリピートのすべてを含むmaIIタイプのクローンを詳細に検討した結果、配列の検索からは2ケ所に予測されるステムループ構造が、実際のプラスミドDNA分子内では1ケ所のみに形成されていた。 以上の結果は、複数の保存領域をもつmtDNA分子においても、保存領域はおそらく複製開始に関わる機能を維持しつつ進化し、実際に複数開始点となる安定なステムループ構造は何らかの機構によって1ケ所に定められている可能性を示唆するものである。
|