研究概要 |
本研究は、北海道山地林に観察される森林タイプ間の明瞭な群集境界に注目して、そのパタンを整理し、景観レベルでのモザイク構造の形成と動態を機能的に説明することを目的として行なった。 知床半島・遠音別岳西斜面のアカエゾマツ林とトドマツ・アカエゾマツ・ダケカンバ混交林の間にみられる明瞭な森林境界について,そのパターンを記述し,動態パラメータと関連づけた。地形・環境条件が連続的であるのに,林木群集が不連続な境界を形成していることを明かにすることができた。森林境界において,アカエゾマツからトドマツに交替するメカニズムを,風雪圧耐性と関連づけるモデルを提案した。渡島駒ケ岳に侵入しつつあるカラマツ林のパターンを航空写真から解析した。 いままで,樹木個体のサイズ分布動態の移流モデルを地理的空間軸に沿って展開したモデルで,群集境界の形成とその動態(環境変化に対して示すタイムラグ)が解析されてきた(Kohyama&Shigesada1995)。森林がギャップ動態とそれに対応したパッチモザイク構造を持つ場合について,このモデルを改訂し,ギャップ動態がある場合でも境界は明瞭であるが,環境変化に対するタイムラグが格段に短くなることを理論的に明かにした。
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