研究課題/領域番号 |
10640650
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物形態・構造
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝仁 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60144135)
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研究分担者 |
上原 悌次郎 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (90025982)
岩口 伸一 奈良女子大学, 理学部, 講師 (40263420)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 二形性酵母 / 菌系形成 / チロシン脱リン酸化酵素 / 遺伝子破壊 / エタノール / ケトコナゾール / MAPキナーゼカスケード / チアミン / 酵母 / Candida tropicalis / ニ形性 / 菌糸形成 / サブトラクション法 / nmt1^+遺伝子 / 二形性 / nmt1 遺伝子 |
研究概要 |
二形性酵母Candida tropicalisのエタノール添加培養において誘導される菌糸形成に特異的に発現する遺伝子群をサブトラクション法で単離した。そのうち、チロシン脱リン酸化酵素をコードするCtPP1についてその破壊株を作成した。エタノール添加培養において親株であるSU-2株(CtPP1/CtPP1)は二相性の成長曲線を示して菌糸形成を行うが、ヘテロ破壊株4-2及びホモ破壊株は単相の成長曲線を示し、菌糸形成を行わなかった。よって、MAPキナーゼカスケードが菌糸形成に必要であり、CtPP1pによって調節されていることが示唆された。 Ctnmt1^+は、341アミノ酸残基からなるポリペプチドをコードしていた。分裂酵母のnmt1^+とはアミノ酸レベルで58%、パン酵母のTHI5(機能が未明)とは73%のホモロジーを示した。ノーザンハイブリダイゼーションにより菌糸形成過程のCtnmt1^+の転写量を調べた結果、第一相後期で強くなることが判明した。Ctnmt1^+の発現はチアミン添加により直ちに抑制された。第一相後期にチアミンを添加してその発現を抑制すると菌糸細胞の伸長の抑制と枝分かれの促進が見られ、この効果を伴うチアミン添加時期とCtnmt1^+が第一相後期に一過性に強発現する時期とが一致していた。以上のことから、本研究で得られた遺伝子Ctnmt1^+は、チアミンの代謝調節とともに菌糸の形態形成にも関わっていることが示された。今回新たに、抗真菌剤ケトコナゾールを増殖阻害しない低濃度で添加した培養(ケトコナゾール培養)において菌糸形成が起こることを発見した。ケトコナゾール培養も二相性の成長曲線を示した。エタノール添加培養では、イノシトールや1Mソルビトール添加によって菌糸形成が抑制される。しかしながら、ケトコナゾール培養にこれらを添加しても菌糸形成は抑制されなかった。またCtPP1破壊株のケトコナゾール培養では菌糸形成が認められた。一方、第一相後期にチアミンを添加した場合には、エタノール添加培養と同様に、菌糸細胞の伸長の抑制と枝分かれの促進が見られた。 以上のことから、C.tropicalisの菌糸形成には、MAPキナーゼカスケードを経る信号伝達経路と、ケトコナゾールの関与するそれとは独立の経路とがあり、それぞれの下流ではチアミンによる菌糸伸長の抑制がはたらく共通の作用点が存在することが示唆された。
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