研究概要 |
1、ロドプシン/G蛋白/ホスホリパーゼC再構成系を作成し、光とGTPによりホスホリパーゼCの活性が上昇することを確め、この系が光情報変換の主要経路として働くことを実験的に確認した。 2、明順応によりG蛋白が膜結合型から細胞質(水溶性)型に変り、暗順応によりこの逆の変化が起こることを、2種動物(Procambarus,Octupus)で見い出し、細胞質型G蛋白はロドプシンと共役できない不活性型であることを明らかにした。細胞質型G蛋白は修飾脂質が除去されたものであることが示唆された。 3、ホスホリパーゼCは、カルシウム依存性プロテアーゼにより限定分解され、G蛋白と共役出来なくなることを明らかにした。また、再構成実験系で、切断されたC末端ペプチドが酵素活性調節ドメインであることを直接証明した。 4、WataseniaホスホリパーゼCのクローニングを行い、推定アミノ酸1,112残基、分子量125,670の蛋白をコードするcDNAクローンを得た。推定分子量は質量分析から得た値にほぼ一致した。また、質量分析とペプチドシークエンシングから、プロテアーゼによる切断部位はG(860),A(861),K(863)のN端側と決定した。 5、ジアシルグリセロールとカルシウムで活性化されるプロテインキナーゼCを単離精製し、この酵素がホスホリパーゼCを燐酸化することを明らかにした。 6、本研究の諸結果から、G蛋白の膜結合型から細胞質型への変化とホスホリパーゼCの限定分解は、感桿型視細胞の光情報伝達経路の停止と調節に関与する機構であることが示唆された。
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