研究概要 |
多くの研究者が子嚢頂部の微細構造を地衣の系統分類を進める上で重要な形質とみなす論文を発表して以来、地衣類の分類形質として地衣成分と並び重視されていた子器の構造はに対する認識はうすれている。 今回の研究において従来ヘリトリゴケ属(広義)Lecideaに所属していた、或いはその近縁属の34属61種について各々の種類の子器内部の各構造、特に菌糸組織の形状・起源を走査型電子顕微鏡を用いて調べた。その結果、その系統的な所属先(分類学的位置)に議論の余地があった、Amygdalaria,Porpidiaをはじめ多くの分類群で一応の結論を導き出せ、子器内部の微細構造からヘリトリゴケ類の各分類群において系統関係を考察することができた。子器内部の微細構造はヘリトリゴケ地衣類の系統分類を進める上で子嚢頂部の微細構造、地衣成分、DNA等とともに重要であることが認識できた。
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