研究課題/領域番号 |
10640693
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人類学(含生理人類学)
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
土肥 直美 琉球大学, 医学部, 助教授 (30128053)
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研究分担者 |
泉水 奏 琉球大学, 医学部, 助手 (80216556)
瑞慶覧 朝盛 琉球大学, 医学部, 助手 (70136901)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 骨考古学 / 古人骨 / 沖縄 / 古病理学 / 生業パターン / 風葬墓 / 近世人骨 |
研究概要 |
南西諸島人骨格の形態と生活環境の関係を知るために、古病理学的調査と四肢骨の形態学的調査を行った。 まず、石垣島の中・近世人骨を用いてストレス・マーカーの観察を行った。その結果、頭蓋骨については、鉄欠乏性貧血と関連することが知られているクリブラ・オルビタリアが6例(20例中)に認められ、全体に緻密質の菲薄化、板間層の拡大など、貧血傾向を示す所見が多くみられた。また、ほとんどの個体にエナメル質減形成が認められた。四肢骨については、骨折痕と思われるものが2例、前腕と下腿の骨髄炎が少なくとも2例にみられたほか、多くの四肢骨に骨膜炎の痕跡が認められた。さらに、少なくとも4例に肘関節の変形性骨関節症がみられるなど、生活環境の厳しさを示唆する所見が多数認められた。これらは、中・近世における八重山地方の人たちの生活の一端を示す興味深い事例と思われる。 また、先史時代人の生活復元の試みとして、四肢骨形態の分析を行った。その結果、沖縄先史時代人は全体的に小柄ではあるが、上肢が良く発達したがっちりした体格であり、上下肢ともに相対的に遠位部が長い特徴を持つことが分かった。断面形の特徴は縄文人より弥生人に似ていたが、下肢に対して上肢が相対的に良く発達している点で弥生人とは違っている。沖縄先史時代人にみられる良く発達した上肢は漁労民の特徴と共通するものである。 さらに、沖縄先史時代人では10%を越す頻度で外耳道骨腫が認められた。沖縄先史時代人における高頻度の外耳道骨腫は、彼等の生活と海との関係がそれだけ密接だったことを示していると思われる。
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