研究課題/領域番号 |
10640695
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人類学(含生理人類学)
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
佐竹 隆 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50130513)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1999年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | 縦断的研究 / 幼児 / 身体発育 / 個体差 / 成長勾配 / 季節変動 / 時系列解析 / 成長 |
研究概要 |
乳児期は胎児期からの急激な減速発育、幼児期は緩やかな減速ないしは緩やかな加速発育期であり、個体変異も多い。発育研究は、年一回ないしは年二回の計測による資料を基に解析を進めることが多い。計測間隔が短くなれば、精密な解析が可能になることが期待される。個体差を明らかにするためには、計測間隔が短く長期に渡る資料を用い、個人毎に解析することが望まれる。前年度に引き続き、東京都内の保育園にて、三歳児、四歳児、五歳児を対象に、毎月1回、身長、体重、指極、頭囲、胸囲、肩峰幅、腸骨稜幅、皮脂厚(肩甲骨下部、上腕三頭筋部、臍部)の身体計測を、計測対象保育園の十分な協力のもと行った。縦断的研究では被検者である子どもが不可抗力で計測日に欠席することも結構あり、三年間に渡り無欠席の子供の完全なデータを収集する事の困難さを感じる(約三分の一に何らかの欠損値が生じた)。月次データを基に幼児の発育の個体変異を明らかにしようと、縦断的調査資料の分析に当たり、身体各部の発育の季節変動や、各部の季節変動がどんな関系を持って発育しているのかといった点に注目して時系列解析の方法を用いて解析を行った。 その結果、個人内でいくらかの計測項目について発育曲線(現量値曲線)を描かせ、各形質の発育の季節変動に着目したところ、各形質にはそれぞれ季節変動のあることが伺え、また、個人内における各形質間の季節変動の様子(Seasonal Combination)をみたところ、各個人で変異の大きいことも伺えた。発育における、環境要因としての季節の影響は各形質、各個人により異なり、また、個体内における各形質の季節変動の関係にも変異がみられ、季節の変化に伴う発育の個体差は明らかであった。以上の様に、ヒトの幼児期発育の特徴が伺え、今後さらに発育の個体差と季節要因の関係について検討を加えていく。本研究に関連し、Dr.Malina(Michigan State University)、Dr.Bogin(Michigan University)、Dr.Geithner(Gonzaga University)らと解析法等について話し合う機会を持つことができた。特に、Dr.Boginの著書"Growth of Humanity"にあるよう、発育を大きな視点で見る必要性を大いに感じた。すなわち、二十一世紀を迎え、日本の社会状況の変化は、少子高齢化を初め急激である。子どもの問題として、医療の進歩や栄養状態が改善され体格は向上したが、体力や運動パフォーマンスは以前よりむしろ低下したといわれている。霊長類学者から、心理・行動面での発達はその環境が重要性であると論じられている。現代の子どもの発達環境はエンリッチド・エンバイアランメントにあり、季節要因をさらに細部して発育の個体変異と対応させるのは非常に重要であろう。
|