研究概要 |
目的 表面からの粒子の脱離など,表面と粒子との相互作用の動的過程を解明するため,多種の脱離粒子を高速で同時計測する装置の開発を行った. 成果 1.真空排気系 排気系は10年度においてほぼ完成し,11年度は排気のコンダクタンスを向上させ,新たにガス導入系を取り付けた.ターボ分子ポンプを用い,ベーキングなしで到達圧力は10^<-6>Paを実現した. 2.分析部 (1)イオン源 タングステン・メッシュを円筒状に加工し,一回巻きのフィラメントでそれを囲んで,130eV程度の電圧で電子衝撃し,気相粒子をイオン化した.その背後に収束レンズを設けた.このときのヘリウムイオンの検出感度は,電子電流10μAあたり3.5・10^<-11>(A/Pa)であった.(2)検出部 二次電子増倍管3個をイオンの軌道面に平行に並べて配置し,最大3種類のイオンを同時検出する設計とし,チャンネル・プレートを利用する前にひとまず簡易な検出素子で基本動作を検出した.(3)偏向磁石 市販の小型イオンポンプに利用されている永久磁石を改造して90°偏向型の磁極を作製した.磁界の平均的な値は(1.46±0.02)×10^<-2>Tで,検出イオンは水素,水素分子,ヘリウムであった.(4)検出特性 イオンの加速電圧を変えることで検出できるイオン種も変わるが,加速電圧が約40Vのとき,それぞれの増倍管に水素原子,水素分子,ヘリウムが検出された.出力信号は,サンプリング・オシロスコープによって高い時間分解で記録することができる.
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