研究概要 |
複合ホログラムにおいては位相型と振幅型格子が共存し,物体光の位相以外に,物体光と参照光の干渉項に依存する付加位相が付加する.ホログラム干渉や位相共役干渉においては,この付加位相の値をあらかじめ知る必要がある.ホログラム記録と同じ条件にして,等しい強度の2光束をホログラムに照射し,ホログラムを格子べクトル方向に平行移動させると,両回折光は周期的に変化するが時間的にずれを生じる.回折光出カのコントラストと両回折光の強度変化のずれの測定から,複合ホログラムの位相型と振幅型格子が共存するために生じる付加位相を求めることを提案してきた. またキサンテン系色素であるエオシン/ポリビニルアルコール膜(EO/PVA)やエリトロシン/PVA,アクリジン/PVA,光異性化反応を示すスピロピラン/PVA及びスピロオキサジン/PVAを作成して,これらの色素膜を用いたホログラムでの付加位相を測定して提案した方法の妥当性を確かめた. 発生効率が低い場合には,ホログラム記録用レーザー強度を変えると,再生光のコントラストは変化するが,付加位相は色素膜固有の一定値を取ることが明らかとなった.これは理論からの予測と一致した. さらに,光化学反応による微量の生成物が生じた場合に,それが屈折率の変化に起因するのか吸収係数の変化に起因するのかを定量的に決定するのに本方法が有効であることを明らかにした.
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