研究概要 |
我々は差分学構築の目的を次の2点に絞った。 1.実数の連続性を否定しても解析学に対応するものを離散的空間で建設できるか? 2.微分方程式の差分化の方法は無数にあるが、微分方程式の持つ定性的・大域的性質を保存するような差分化(超差分化)は可能であるか? 目的1.は肯定的に達成された。詳しくは下記の出版物 (1).広田良吾,『差分方程式講義』サイエンス社(2000). (2).辻本諭,『可積分系の応用数理』(第一章可積分系の離散化について)中村佳正編,裳華房(2000).に述べられている。 目的2.も肯定的に達成された。この問題に関しては非常に多くの成果がえられた。上記の学会誌等への発表文献(1,2,5,7,9,10,11,12,14,17)が差分化(超差分化)を議論した論文である。論文(8,15)は可積分な微分方程式を議論したもので、これらの微分方程式も、差分化可能であると推定されている。 差分学の工学的応用 論文(3,4,6,13,18,19,20)は超差分方程式のセル・オートマトン、交通流、パターン形成を論じたものである。数値計算法のマトリックスの特異値分解に対する応用として(発表文献16)がある。可積分系の理論を使ったこの新しい方法は既存の方法よりも計算時間が早くなる可能性がある。
|