研究概要 |
本研究では,動電型加振機およびオーディオスピーカーを用いて,微小な荷重を精度良く負荷することのできる疲労試験機を開発するとともに,その制御装置を開発した.さらに,素材を試験機に取付けた状態で,電解研磨によって微小断面部を製作することのできる装置を開発し,マイクロマシン部材の疲労強度評価を行うための試験を実施した.供試材として,工業用純鉄及び工業用純アルミニウムを用いた結果,いずれの材料においても,疲労破断は大きくばらついた.しかしながら,破壊確率を破断繰返し数の関数としてワイブル確率紙にプロットしたところ,いずれの材料でも,破壊確率は試験片寸法に依存せず,破壊確率50%のS-N曲線は,試験片寸法に依存しなかった.さらに,アルミニウムにおいて,定電流を流して疲労試験中の電位差の変化を調べたところ,塑性変形,あるいはき裂進展に対応した電位差変化が検出された. マイクロマテリアルでは,疲労き裂発生過程が支配的であると考えられたため,原子間顕微鏡を用いて,バルク材の疲労き裂発生過程のメカニズムを調べた.まず,α黄銅の大気中における疲労すべり帯の成長とすべり帯からの疲労き裂発生過程を詳細に観察したところ,すべり帯からき裂が発生すると,すべり帯の寸法が急増することが明らかになった.すべり帯からき裂が発生するときの限界のすべり量は,応力振幅および結晶粒径に依存しないことが明らかになった.また,アルミニウム合金を用いて,腐食環境中のき裂発生過程を原子間顕微鏡によって調ベ,腐食ピットからのき裂発生過程を明確にした.
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