研究概要 |
サブミクロンセル構造の成形プロセスは,大きく次の3つの過程より成る.第1段階は,数多くのセル核を連続的に生成するためポリマー内に物理的発泡剤として窒素や二酸化炭素等のガスを高圧下で飽和させガス/ポリマー溶解状態を形成する過程である.第2段階は,ガス/ポリマー飽和状態の試料を減圧するとともにガラス転移温度付近に加熱することにより含有ガスの熱力学的な不安定現象を誘起させセルの成長を促進する過程である.第3段階は,セルの成長を制御する冷却過程である.本研究では,第2段階並びに第3段階のセルの核生成及びセル成長を制御するガス/ポリマー溶融状態の熱不安定現象を急激な圧力並びに温度変化に加え,新たに外部エネルギー(超音波等)を導入し,これがセル核生成及びセル成長へ及ぼす効果について検討した.その結果以下のことを明らかにした. (1)バッチ式成形装置を用いて,外部エネルギーとして超音波装置を負荷出来る成形プロセスシステムを構築することができた. (2)上記プロセスを用いて,種々の圧力,温度条件並びに加振条件でガス含有量を種々変えた各種プラスチックのガス/ポリマー溶解状態の試料成形を行った.そして,ガス/ポリマー溶融状態の熱不安定現象に及ぼす外部エネルギーとしての超音波の効果について検討できた. (3)押出発泡成形装置のセル核生成及びセル成長を制御するダイス部に外部エネルギーとしての超音波を付与し得るダイスの設計および試作を行うことができた. (4)(3)の装置を用いて種々の条件で成形を行い,サブミクロンのセルを有する成形品の押出連続成形プロセスの実用化に対する基礎的な指針を得る事ができた.
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