研究概要 |
まず,実際のリードフレームの大きさは,ミクロンオーダである.しかし,ミクロンオーダの実験を行うことは不可能であるため,その実験をミリオーダの実験に置き換えた.通常の打抜きとリードフレーム材の打抜きの違いは,打抜かれた材料の板厚と板幅の比にある.すなわち,通常の打抜きでは板幅に比べて板厚が薄く,打抜かれた材料は平板である.一方,リードフレーム材の打抜きでは板幅に比べて板厚が厚く,打抜かれた材料は角棒である.以上の点に注意して金型を設計した.すなわちまず,ポンチ幅を10mmにした.また,隣接するダイス穴の間隔を6.0mm,6.4mm,6.8mm,7.2mm,7.6mm,8.0mm,8.4mm,8.8mm,9.2mm,9.6mmにした.そして,打ち抜かれる材料の板厚を6mm,8mm,10mm,12mmにした.これより,打ち抜かれた材料の板厚に対する板幅の比が0.5から2程度になった.次に,銅,アルミニウム(H材),アルミニウム(O材)を使用して打抜きの実験を行った.その結果,ダイス穴間隔が6.8mmのダイスと8.8mmのダイスを使用した場合の材料の変形が特徴的であった.そこで,これらのダイスを使用した時の材料の変形を,格子法によるひずみ解析により明らかにした.まず,ダイス間隔が8.8mmのダイスを用いた打抜きでは,材料の変形がクリアランス(ポンチとダイスの隙間)に限定された.一方,ダイス間隔が6.8mmのダイスを用いた打抜きでは,材料の変形がクリアランス外部に及んだ.次に,我々が先に開発したせん断加工解析用プログラムを用いて,様々な破壊条件を仮定してリードフレーム材の打抜き加工の解析を行った.その結果,従来より知られている破壊条件式を用いると亀裂発生時から材料破断時までの材料の変形が極めて大きかった.一方,我々が提案した破壊条件を用いると亀裂発生時から材料破断時までの材料の変形がほぼ妥当であった.以上より,我々が提案した破壊条件式の妥当性が確認された.
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