研究概要 |
ガスタービンに使用されているコーティング先端耐熱超合金には,起動停止に伴う熱応力により表面から多数のき裂が発生・伝播する.これらのき裂損傷を定量的に評価しようとする場合には,多数発生するき裂深さとき裂本数を動じ計測する必要がある.本年度の研究においては,交流電位差法を用いてき裂深さとき裂本数の定量的評価法について検討した. 使用した試験片はニッケル基超合金の角柱試験片(幅5mm,高さ10mm,長さ10mm)である.ワイヤー放電加工機を用いて,深さが50,100,150,200,300,500μmのき裂をそれぞれ1〜5本有する試験片を作成した.交流電位差法計測システムを用いて,200Hz〜5KHzの制限は交流を用いて,4端子法でき裂深さとき裂本数の測定を実施した.実験結果から下記の点が明らかになった. 1.単数および複数き裂ともにき裂が深くなるほど電位差が上昇することが分かった.き裂深さの増加に伴う電位差上昇には,周波数依存性が存在することが判明した. 2.同一き裂深さにおいては,き裂本数の増加に伴って電位差が上昇することが判明した.き裂本数の増加に伴う電位差上昇には,周波数依存性が存在することが判明した. 3.比較的浅いき裂に対しては,高周波を使用した方が感度はよいが,き裂が深くなると周波数依存性が無くなることが判明した. 4.交流電位差法の周波数依存性を利用して,き裂深さとき裂本数の同時測定が可能であることが分かった.このことを利用すれば,ガスタービン翼に発生伝播するき裂損傷を評価することが原理的に可能であることが明らかにされた. 5.上述の実験結果は周波数応答の有限要素法解析結果と良好に一致した.
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