研究概要 |
位相差顕微鏡や微分干渉顕微鏡を用いて,コラーゲン線維束の微細構造を観察しなが引張試験を行うことができる生体外負荷試験装置を開発した.この負荷試験装置を用いて,マウス尾腱より摘出したコラーゲン線維束の引張試験を行い,微細構造と力学的性質の関係について検討した. 顕微鏡のステージ上に小型のリニアアクチュエータとロードセルを取り付け,ロードセルからの出力をセンサインターフェースボードによりパーソナルコンピュータに取り込んだ.顕微鏡の観察像はCCDカメラを用いてデジタルビデオテープに記録した.尾腱より摘出した線維束は,ロードセルとアクチュエータに取り付けたアクリル樹脂製のブロックにシアノクリレート系接着剤で固定した.この線維束をスライドガラスとカバーガラスの間に鋏み込み,生理食塩水中で引張試験を行った.得られた顕微鏡画像は画像処理ソフトウエアを用いて解析した. 以上の結果,引張試験中の線維束の微細構造を明瞭に捉えることができた.無負荷の状態では,クリンプパターンと呼ばれるコラーゲン線維が波打った状態が観察できた.荷重一変位曲線がほぼ直線となる領域では,コラーゲン線維が平衡にますぐに引き伸ばされる様子が観察された.荷重が急激に低下する少し前から微細なコラーゲン線維の破断が始まることが明らかになった.
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