| 研究概要 |
1. 超精密加工面のカオス特性
結晶異方性をもつ被削材のダイヤモンド切削によって得られる鏡面が不均一化する原因を解明するため,(100)-[112]の優先方位を持つAl-Mg合金の超精密加工面のカオス解析を行った.加工面プロフィールを相空間に埋め込み,アトラクタのリアプノフ指数と相関次元を求めた結果,超精密加工面はカオス特性を有し,送り,切削速度を小さくするほど,カオス性が強くなることがわかった.また,リアプノフ指数と相関次元は<111>方向に切削する箇所で最も小さく,すべり方向に一致する<110>方向に切削する箇所でやや大きくなり,すべり方向に直交する<001>方向に切削する箇所で最大となった.なお表面粗さは,リアプノフ指数と相関次元の結晶方位依存性と反対の傾向を示すことが明らかになった.
2.異方性エッチングされたSi表面のフラクタル特性
KOH水溶性によって異方性エッチングされたSi(100)面の特性をフラクタル解析した.その結果,エッチング表面は自己アフィン性を示し,そのフラクタル次元と自乗平均平方根粗さはエッチング時間と温度に依存することが明らかになった.またイーデン・モデルを適用したエッチング表面の生成シミュレーションの結果,Si基盤の表層にあるSi原子ほど水和されやすいこと,またSi原子の溶解が確率過程に従うことが自己アフィン特性を示す表面の生成機構であることがわかった.
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