研究概要 |
研削加工を行うことによって金型の自由曲面を高精度でしかも平滑に仕上げるためには,耐摩耗性に優れた極微粒の研削工具を新たに開発する必要がある.平成10年度には極微粒のダイヤモンド砥粒の表面に金属酸化皮膜を高周波スパッタすることにより,砥粒と結合剤との結合強度を上げることを試みた.その結果,機械的な投錨効果と化学結合の効果を併用することにより,レジンボンドホイールの耐摩耗性は大幅に改善されることが明らかになった.ただし,ホイールの耐摩耗性をさらに改善するためには,ホイールのボンドシステムを変える必要があると考察された. 以上のように得られた研究の成果を踏まえ,平成11年度には,金属酸化皮膜で被覆された極微粒ダイヤモンド砥粒を,皮膜の表面に析出するニッケルの結晶粒で固定化することにより,現時点で最も耐摩耗性に優れた極微粒ダイヤモンドエ具を開発することを試みた.この場合,既存の電鋳工具が抱えている工具寿命が短いという間題点や,電着層が工具台金から剥離するといった問題点を克服するために,極微粒の厚地電鋳工具を高能率に製造することができる,工具製造技術の開発を行った. その結果,従来の沈降共析法を用いた場合には厚さが1mm工具の製造に最低でも81時間要するのに対し,新たに開発した低速かく拌法を用いた場合には工具の製造に要する時間を2.5にまで短縮化することができた.また極微粒ダイヤモンド砥粒の表面に金属酸化皮膜を高周波スパッタし,砥粒表面の等電点をめっき液のpHから±2程度離した場合には,めっき液の中での砥粒の二次凝集を避けることが可能であり,砥粒の分散状態が均一な電鋳工具を製造できることが明らかになった.
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