研究概要 |
本研究は,機械システムに求められる諸機能を実現する上で必要となる「システム構造」と,そのようなシステムを物理的な実体として存在させるための形状や配置における「形態」とを統合的に操作することが求められるようなクラスの設計問題に対して,様相依存推論によるメカニズムを採り入れた柔軟な対象モデリング法を構成することを目的としたものである.本研究課題における研究実績は以下のとおりである. ・対象モデリング法の展開…具体的ないくつかの設計問題における処理内容についての分析を行い,その結果を踏まえて,連結型運動伝達機構の統合的設計のための様相依存推論に基づいた対象モデリング法として,機構全体を機構系・機構鎖・機構対の各レベルで表現する一方,それらを階層的に連係させる方法を構成し,さらに,そのようなモデリング法に対応した設計シンセシスの方法を展開した.また,機構全体レベルについての空間情報を操作するための手段としてボロノイ図による空間分割を用いた定性的な方法を導入した. ・プロトタイプシステムの構築とモデリング法の検証…さらに,そのようなモデリング法とシンセシスの方法をコンピュータシステムとして実装し,いくつかのメカニズムの設計問題に適用することにより,それらの有効性を検証した. ・分散協調型設計問題解決への展開…階層的で分散的でもあるモデリングとシンセシスの方法をより実際的な設計問題にも対応できるものへと発展させるためには,設計問題を分散協調的に解決するための方法論が必要であるとの考え方のもと,それに向けて基盤となるアーキテクチャを提案し,分散協調構造についての分析を行った.
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