研究課題/領域番号 |
10650145
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
設計工学・機械要素・トライボロジー
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
水本 洋 鳥取大学, 工学部, 教授 (80108795)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
|
キーワード | 回転機械 / 空気静圧軸受 / 計測機器 / 軸受 / 真円度測定 / 精密機械 / 静圧軸受 / メカトロニクス |
研究概要 |
本研究の目的は超小型玉軸受に転動体として使用される小径球の真円度計測システムの開発である。そこで平成10年度は、計測システムの心臓部となる測定スピンドルの回転精度を高めるために能動制御機構を備えた空気静圧軸受を設計、製作した。空気静圧軸受に組み込まれる能動制御機構は「能動自成絞り」と呼ばれ,研究代表者らにより考案されたものである。測定スピンドルを支持する能動自成絞り付き空気静圧軸受はスラスト、ラジアルー体型のステンレス製で、最外径140mm、高さ86mmの縦型である。能動自成絞りユニットはラジアル、スラストのそれぞれの軸受面に8個ずつ、合計16個組み込まれている。能動自成絞りの本体は通気孔を持った圧電素子で、圧縮空気は圧電素子の通気孔を通過して軸受面に達する。この際のオリフィス断面積を圧電素子の伸縮により調節することで軸受面圧力を制御することができ、したがってスピンドルの変位をセンサで検出して適当な制御アルゴリズムにより圧電素子の伸縮を制御すれば、スピンドル変位を押さえ、回転精度を向上させることが可能となる. 引き続き平成11年度は昨年度製作された測定スピンドルの特性解析を行い、能動制御による回転精度の向上を計った。まず、能動制御を行わない状態における回転振れを観測したところ、スラスト、ラジアル両方向ともに1回転あたり2つの極大点が生じるいわゆる"2山成分"の振れがかなり強く(振幅で0.2μm程度)現れることがわかった。これは主に軸、軸受の形状誤差、組立誤差に起因するものであることより、軸、軸受面の再調整と再組立を繰り返したが改善されなかった。 時間的制約もあり、次の段階としてこの回転振れ状態での能動制御を試みた。振れの大きさは能動自成絞りユニットの制御範囲にかろうじて入るものであることより、低回転速度(10rpm程度)では能動制御による回転精度の向上が見られた。能動制御状態で観測された回転振れはスラスト、ラジアル方向とも振幅20〜30nmと改善された。一方、加振実験による周波数特性を求めたところ、能動制御の効果は20Hz程度の加振周波数まで見られることもわかった。しかしながら、能動制御状態を安定に長時間保つことが困難であり、また、回転精度も真円度測定器にはやや不充分なレベルである。そこで残された研究期間で回転精度の向上を計ることとし、再度、軸、軸受、そして能動システムの調整を行ったが、期待された結果を得ることができなかった。
|