研究概要 |
混合潤滑の初期領域から境界潤滑までの,広範囲にわたる潤滑状態の診断を目的とし,従来の摩擦やAE測定に加えて,新たに超音波法を取り入れた新しい潤滑診断システムの構築を試みた.そして,滑り面から反射する超音波のエコー高さで決まる面積指数の変化を基に,摩擦面間の接触状態や局所摩擦,荷重支持割合等の観測を行った結果,以下のことが明らかになった. 1.波形歪みの少ない波頭部1波長の中心周波数に対する面積指数と,接触面の剛性の考慮により,表面の粗さやトポグラフィーに関係なく固体接触面積比を推定できる,簡便な面積測定法の基礎を確立できた. 2.超音波の照射領域を接触面の一部に限定できる点焦点型探触子を用いて測定した,場所場所での局所面積指数の違いから,滑り面の局所部分での摩擦が分かり,摩擦分布図の作製が可能になった. 3.油中を伝播しない横波超音波の反射率測定から,そこでの荷重分担比を定量的に推定できる可能性を明らかにした. 4.摩擦と面積指数の相関関数の推移から、しゅう動面への摩耗粉の移着や酸化皮膜の形成等の摩擦面の性状変化を逐次把握できるようになった. 5.超音波法とAE法を組み合わせたUT-AE併用型潤滑診断技術により,2面の接触状態良否を電気抵抗法と同程度の簡便さで観測でき,測定された摩擦との対比から潤滑面の危険度推定が可能になった.
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