研究概要 |
すきま比β=0.14の1渦モードを対象に,流れ系の外部から天頂角方向速度成分に微小な擾乱を与えて、速度変動の消滅現象に対する受容性について考察した。得られた主な結論は以下のとおりである。 (1)環状TG渦が発生する低位臨界レイノルズ数Rec_1をはじめて定義した。β=0.14の場合の低位臨界レイノルズ数はRec_1=860である。微少擾乱を与えた場合には,初生時間t_Fが擾乱なしの場合に比べ大きくなるが,低位臨界レイノルズ数の値はRec_1=860で、擾乱の影響を受けない。 (2)層流-乱流・遷移に関しては,外部微少擾乱がスパイラルTG渦,進行波動の発生には影響を与えないが、撹乱消滅現象には影響を与える。外部擾乱を印加する事により撹乱消滅現象が生じる臨界レイノルズ数が低下し、その値は擾乱の周波数により相違する。 (3)方位角方向速度変動成分の実効値には外部擾乱による影響は現れないが、天頂角方向速度変動成分の実効値は増大する。天頂角方向速度変動成分の実効値は、スパイラルTG渦発生からカオスへと至るレイノルズ数領域において増加するが、カオスから撹乱消滅現象へ至るレイノルズ数領域においては擾乱の周波数に依存して増加または減少する。 (4)擾乱の基本周波数は外部擾乱による影響を受けない。 (5)天頂角方向速度成分のスキューネス係数の値が、カオスから撹乱消滅減少へと至る領域においては、正負逆転するが、方位角方向速度成分のスキューネス係数は変化しない。一方、フラットネス係数は方位角および天頂角方向速度成分とも変化がない。 (6)スパイラルTG渦発生からカオスへと至るレイノルズ数領域に比べて、擾乱消滅減少が生じるレイノルズ数領域の方が、外部擾乱に対する受容性の影響が大きい.
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