研究概要 |
流体工学的に,非常に重要である分流を伴う流路での流体の挙動につき研究を行った.研究は,各種流路での流体挙動・特性についての実験的研究を主として山口が担当し,流れ場における流れの安定性についての解析的研究を主として水島が担当した. 本研究では,分岐・分流を伴う流路における流れとして,始めに拡大・縮小二次元流路につき詳しく調べることで分岐・分流流れへの基礎を確立した,ここでは,対称な拡大・縮小をもつ単一流路においても,対称性の破れによる偏流現象が発生し,流れのモード遷移が発生することのみならず,高いレイノルズ数では振動流への移項現象が発生することが実験的さらに解析的にも確かめられた.これらにより得られた知見は,他の流体力学現象,すなわち自然対流や回転する球間隙流れの挙動・特性にもつながることが確認された.次に,これら拡大・縮小の単一流路に出口部において二つの分岐流路をもつ二次元分岐流路を考え,流体工学的に最も基礎的なモデル流路として,同じく実験的,解析的研究を実施した.これら分岐流路では,非常に多岐に渡る流れの遷移モードの存在が可視化情報より求められ,複雑な流れのパターン変化と流れの特性が明らかになった.さらに本研究では.分岐流れの形態の総合的な価値の立場より,分流・分岐流れにおける流れの挙動・特性にも研究の範囲を広げ,ニュートン流体や粘弾性効果を有する非ニュートン流体の流れについても検討を行い,成果を得た.これら分流・分岐型の流路での流体の振る舞いは,流体のレオロジー特性に起因する様々な流れのモードが存在することが確認され,これらモードの変化はSALE法を用いた数値シミュレーションにより良く説明されることが判明した. 以上,本研究より得られた結果は,流路設計や設備予測に大きく寄与することができるのみならず,流体力学的な基礎研究分野においても多くの知見を与えられるものである.
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