研究概要 |
乱流拡散火炎は広く工業的に用いられており,地球環境保全のために低エミッション化ならびに燃焼の高安定化・高負荷化が望まれている。本研究では,複数の光半導体素子を用いたシステムにより燃焼場の複数の測定点で燃焼温度とガス流動を計測し,温度と速度の乱れの3次元空間相関を解析することにより乱流拡散火炎構造の解明を試みた。 1.乱れのスペクトルの高精度解析:2色法を原理とする光ファイバー温度計(OFT)および半導体レーザ2焦点流速計(L2F)のそれぞれ2台,合計4台の信号処理系を統合し1台のパーソナルコンピュータに同時にデータを取り込むシステムを構成した。L2Fで得られた不等間隔流速データをカルマンフィルタにより誤差修正し,さらに相関スロット法を適用することにより高精度の乱れスペクトル解析が可能であることを明らかにした。 2.燃焼温度とガス流速の乱れの空間相関:燃焼温度およびガス流速の両者に対してそれぞれ相関スロット法を拡張して適用し良好な精度で乱れの空間相関を解析した。速度の時空間相関のピークが平均流速のこう配に対応すること,また温度乱れの自己相関と空間相関の関係から燃焼ガスの微細渦が平均流によって下流に移動することが示された。さらに,取得された温度や速度のデータを条件付きでサンプルしてスペクトル解析を行うことにより,高温領域や低温領域の時空間相関が独立に検討できることが明らかにされた。 3.噴流拡散火炎基部流動の計測:プロパン火炎の外周に空気を流し,同軸噴流火炎を形成した。浮上がり火炎では基部におけるエントレインメントが多く,このことが火炎全体のエントレインメントの増大の要因と推定された。さらに,OFTによる火炎温度ならびにすす濃度の測定から,輝炎発生率と周囲空気のエントレインメントに相関があること,また浮上がり火炎では輝炎発生率が低くすす濃度が低くなることを明らかにした。
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