研究概要 |
本格的に迎える高齢者社会にあって,健康のバロメータとして健脚度が重要になる.しかしヒトの健脚度をどのように評価するかの明確な基準はなく,単に機械により運動能力や物理的能力を数値的に求め,標準より高いあるいは低い等の評価を行っている.しかしのこのような方法は高齢者に緊張感を与え,精神的かつ肉体的にも負担となるばかりでなく,同じ"標準"という値が得られても個人の特異性は解らない.そこで本研究では,環境と言う精神的な面での健康感が得られる場を想定し,仮想現実空間によって創成された自然環境の中で,生活の一部である通常の歩行状態に着目した.そしてその歩行パターンを,脚部のみならず臀部さらには体全体のねじれや横揺れにも注目し,2台のカメラで三次元的に捉え,その結果から健脚度評価法の考え方と個人の特異性を抽出することを目的とした.具体的には歩行状態を正面と側面から捉え,そのダイナミクスを制御工学的に解析した. 得られたダイナミクスを検討すると共に,歩行パターンを多次元信号処理かつ画像処理を行い、年齢別及び性差別に健常者の健脚度に関する特徴を抽出した。そしてまず年齢とは無関係に性別毎に、健康な人の健脚度の恒常的特長とはいかなるものかを見出した.次にそれを基準として、健常な高齢者とそうでない人さらにはリハビリ中の人等との特徴比較を行い、その違いの特異性を探しだした.そしてそれらの結果を踏まえ、生活の一部である自然の歩行に着目した無負荷による健脚度の評価法確立の指針が得られた.
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