研究概要 |
ER流体を用いた摩擦減衰機構を有する可変減衰型動吸振器の開発を行い,その特性を実験的および数値計算により明らかにした.ER流体が加える電場により制御できるのは流体の降伏応力であることを考慮して,流体の特性を十分引き出すために,一対の電極間にER流体を注入し,電極がせん断方向に相対的に振動して摩擦減衰を生成する機構の設計を行った.試作した後に,単体での性能評価を行った. 実験的検討に加えて,供給エネルギーと減衰可変性能の関連性を理論的に明らかにした.分散系ER流体の理論的検討に関しては,コロイド溶液の分散質の凝集シミュレーションはいくつか行われているが,多くは分子動力学法を用いており,多大な計算時間を要し実用的でない.そこで,研究代表者が近年様々な解析を行っているセルラオートマトンを適用して凝集プロセスのシミュレーションを試みた. さらに,平成10年度に開発したER流体を用いた可変摩擦減衰型動吸振器の制御系としてのニューラルネットワーク制御系の開発を行い,制御シミュレーションおよび制御実験を行った.自己組織化するネットワークのアルゴリズムには研究代表者が近年様々な分野への応用を試みているセルラオートマトンを用いた.制御に利用するために階層型である必要があるが,入力と出力のニューロンを定義し,その中間を信号が一方向に流れるように高速を与えて,階層型ニューラルネットワークを生成させた. 実験は平成10年度に試作した可変減衰型動吸振器を構造模型の最上階に設置して行った.構造模型は3層からなり,各フロアに相当する部分に集中質量を有しており,3次の固有振動数まで利用して実験を行った.実験においては構造物の基礎励振を行い,各フロアに設置した加速度計の出力が最小になるように,最上階に設置した可変減衰型動吸振器の制御を行った.
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