研究概要 |
人間の色に対する属性を定量的に表した知覚情報「色相(H)、彩度(S)、明度(I)」をRGB情報の代わりに使用し、人間と機械との情報の共有を容易にし、かつ、情報処理を高速化するための研究を行った。全てが光強度という物理量であるRGB情報の組合せによって、明るさや鮮やかさの異なる同一色を認識するのが困難である。一方、知覚情報である色相・彩度・明度を扱うHSI情報は、人間の視覚によって判断する色測定や比色などについては極めて優れているが、既存の映像機器の内部信号としては不向きである。そこで、映像機器の内部信号として有効なRGB情報を、実時間で人間の知覚情報であるHSI情報に変換し、新たな情報出力を有する色測定処理システムを構築した。提案する手法は、民生機器の高性能化に伴って比色法・分光法・吸光度法などと同等に使用可能なことが予想されることから、他の計測分野への応用を試み良好な結果を得た。これによって、人間の視覚がマシンビジョンより優れている対外界照明変化特性の実用化、人間から機械への色情報伝達の簡素化、色画像処理の高速化を図ることが可能になり、色属性情報を応用した環境認識システムが実現可能となった。具体例環境認識センサとして、特別な特徴付けを行わないステレオ・レンジファインダーや人間の色感覚のデータベース化などに応用した。色感覚のデータベースは、サービスロボットなど人間とのコミュニケーションを必要とする機器に目標値を与える際に必要な人間の負担を軽減した軽快なヒューマン・マシン・インタフェースの構築に有効であると考える。また、介護支援において重要な技術となり得る「在宅保健モニターシステム」の基本要素として、尿試験紙などにおける色票との色比較による段階的判定を定量測定へとすることを可能とし,ホーム・ケア・テクノロジーとして実用性を示し,新しい計測法としての有効性を示した.
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