研究課題/領域番号 |
10650275
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電力工学・電気機器工学
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
長尾 雅行 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (30115612)
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研究分担者 |
村本 裕二 (村本 祐二) 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70273331)
穂積 直裕 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (30314090)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 氷 / 絶縁紙 / 複合絶縁系 / 電機絶縁性能 / 極低温領域 / 高電界電気物性 / 絶縁寿命 / 絶縁破壊特性 / 電気絶縁性能 |
研究概要 |
本研究においては、高温超電導ケーブルの絶縁方式の一つとして、従来技術の延長としての絶縁紙-液体窒素複合絶縁系に着目し、極低温電気絶縁構成としての可能性を検討してきた。その結果、絶縁紙-液体窒素複合絶縁系においては、液体窒素の気化により絶縁紙内部に微小気泡が残留し、その内部で部分放電が発生し易いことがわかった。そこで我々は、絶縁紙内部の空間を氷で満たし電極間の液体窒素を極力排除した絶縁紙-氷複合絶縁系を考案した。水分を含侵した絶縁紙を液体窒素中で氷結させた時の絶縁破壊特性について研究を行った結果、氷を含むことにより破壊電圧が上昇し、自己回復性破壊を示すことがわかった。これは、氷でセルロース間の空間を満たすことにより、微小気泡の成長が抑制され部分放電が発生しにくいためであると考えられる。多層絶縁紙-氷複合絶縁系の交流絶縁破壊特性として密度の異なる絶縁紙として2種類のOF紙を用いて交流絶縁破壊試験を行った。その結果、氷結させることにより絶縁破壊の強さ(Fb)が大きく上昇したが、氷結紙試料では「中穴」試料は「上穴」試料よりFbが低くなった。この「氷結-中穴」試料では、中穴において氷で出来ており、氷結紙に比べ大きなクラックが存在し、この部分で比較的大きな放電が固定して発生するため、劣化が集中するからと考えられる。多層絶縁紙-氷複合絶縁系の部分放電特性としては、1サイクル当たりの総放電電荷量が小さいほどFbが高くなることが分かった。氷結紙試料において総放電電荷量が最も大きい「中穴」試料のFbが最も低くなった。「非氷結-上穴」と「氷結-中穴」を比較すると総放電電荷量が大きいのにも関わらず「氷結-中穴」試料の方がFbは、高くなり、耐部分放電性に優れていることが分かった。さらに本研究の成果として絶縁紙の種類および密度の影響を調べたところ絶縁紙材質の差が絶縁破壊の強さに余り影響しないこと、密度の高い絶縁紙が絶縁紙-氷複合系の絶縁性能を向上させ、氷のクラック状態が絶縁破壊に影響を与えるがわかった。これらの事実、ならびに、絶縁紙、氷の誘電率およびtanδは、極低温では双極子運動の凍結により大幅に低下することを考えれば絶縁紙-氷複合絶縁系は極低温絶縁機構の有力候補の一つとなり得る。
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