研究概要 |
エネルギー・環境問題の観点から船舶に太陽光発電システムを搭載することを想定し,ディーゼル発電機とハイブリッドシステムを組む場合に問題となる太陽光発電電力の不規則さに起因する問題を軽減するために,太陽光発電電力を予測するための基礎研究を行った。その結果,次の成果が得られた。 1.雲の画像処理による太陽光発電電力(日射量)の予測:まず,太陽光発電電力に最も大きく影響を与えるシステム上空を通過する雲について,その動きを視覚機能を用いて検出し,数分後の天候を「晴」か「曇」で予測する基礎手法の開発を行い,有効性を確認した。次に,今後太陽にかかる雲の割合を予測することにより,数分間の日射量積算値を推定する手法について検討した。さらに,長時間の予測を行うため,全天カメラの映像を解析して数時間の日射量積算値を予測する手法を考案した。また,雲の種類による日射の透過量の違いを考慮するため,雲の種類を判別する基礎手法として,雲塊状の雲と薄い雲を識別する画像処理手法についても検討した。 2.日射特性を考慮した太陽光発電電力(日射量)の予測:1日単位の長時間にわたる予測を行うため,太陽高度から日射量を求める理論式と実測した日射量から当日の大気透過率を推定し,これに基づき以後の日射量積算値を推定する手法を開発した。本手法を用いて,2000年の1年間の日射量データを基に予測実験を行い,年間の半数以上は高い精度で予測できることが確認できた。 3.太陽光・ディーゼルハイブリッド発電システムの制御:以上のような短期的,長期的な太陽光発電電力の予測を取り入れた太陽光・ディーゼルハイブリッド発電システムの制御に関して基礎的な手法を提案した。 今後は,以上の各基礎技術を組み合わせたシステムとしての応用研究が必要となる。
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