研究概要 |
近年のパワーエレクトロニクス技術の進歩,発達はめざましく,産業用電気機器は勿論,家電機器,OA機器等へも幅広く使用されている。半導体応用機器の普及が進行するにつれて,これらの機器から発生する高調波電流に起因する配電系統の電圧ひずみが増大する傾向にある。高調波による電圧ひずみは,配電系統に広く拡散し,系統に接続されている機器類に対し,誤動作等の障害発生の原因となるおそれがあり,障害が顕在化する前に先見的な対策を講じなければならない。そのため,高圧配電線で直接40次までの高調波周波数域が測定できる高精度・携帯の配電用高圧高調波測定器の開発が必要である。また,特定需要家(工場等)から発生する高調波電流による障害を検討しなければならない。 本研究は,平成10年度から平成11年度にわたる2年間で行った。平成10年度は,40次の高調波領域までの高圧配電線の電圧・電流を精度良く測定することができる携帯方式の配電用高圧高調波測定器を開発する為,BiGeO20単結晶のポッケルス効果によって電圧を測定する光電圧センサとR3FeO12薄膜のファラデー効果によって電流を測定する光電流センサを試作した。また,高圧配電線の電圧を分圧するため,酸化亜鉛素子を用いた新型酸化亜鉛形分圧器を試作した。フィールド試験によって,光電圧,光電流センサを用いた配電用高圧光高調波測定器システムの有効性を実証することが出来た。平成11年度は,工業地域における需要家近くの三相6.6kV高圧配電線と同系統の配電変電所内で高調波を測定して,広域における高調波レベルととともに工場内の高調波レベルも測定した。これらの結果より,力率と高調波電流の関係を明らかにするとともに,ニューラルネットワーク理論を用いて高調波の負荷予測についても検討を行った。
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