研究概要 |
研究代表者および分担者は,電気自動車(以下,EVと略記)駆動用電動機の運転特性を更に改善するために,六相極数切換誘導電動機(以下,六相PCIMと略記)を提案し,その基本原理および定常特性などを明確にしてきた。また,六相PCIMに対する解析理論を提案し,試作機を用いて定常並びに過渡特性を算定するなど検討してきた。その結果,六相PCIMは電動機の体格および電流を増大させることなく定出力範囲の拡大が行えること,極数切換のための開閉器が不要となり,システムとして小型化ができることなどの優れた特徴を有していることを明らかにした。また,提案した解析理論は,極数切換およびその前後における連続的な特性を良好に算定できることを実験的に検証した。しかし,六相PCIMをEVに適用するには,極数切換時の過渡変動を極力抑えた極数切換条件が必要である。本研究では,六相PCIMの過渡特性を明確にするとともに,円滑な極数切換を行い得る極数切換条件を明示し,実用性の高い六相PCIMの設計の基礎を築くことにある。従って,研究を以下のように進めた。 1.六相インバータ(六相INV)の試作 2.過渡特性測定のための実験手法の構築 3.六相INVを用いた場合の過渡特性の実験結果をシミュレーション結果との比較検討 4.極数切換条件に対する評価方法の提案 5.極数切換条件に対する詳細な検討 その結果,過渡現象を抑えた極数切換条件を提案することができた。 以上のように,研究計画通り,EV用六相PCIMの円滑な極数切換条件などを理論的かつ実験的に明らかにすることができ,EV用極数切換誘導電動機の実用化に向けた基礎的資料が得られ,本研究課題に対する研究目的は達成できたものと考えている。
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