研究概要 |
マイカ基板上に白金(Pt)をスパッタし,(111)配向したPt下地層を作成した.この上に組成を変えてCo-Pt合金膜をスパッタし,X線極点図を測定して結晶構造を解析した.その結果,【encircled 1】Pt含有量が60%以上のCo-Pt合金膜は(111)配向した面心立方(fcc)構造をとること,【encircled 2】Pt含有量が40%以下のCo-Pt合金膜は(0001)配向した最密六方(hcp)構造をとること,【encircled 3】Pt含有量が40%から60%の範囲ではfcc(111)結晶粒とhcp(0001)結晶粒が共存すること,が明らかになった.NaCl単結晶基板上に作成した(100)配向したPt下地層上にスパッタしたCo-Pt合金膜は,その組成に関係なく(100)配向したfcc構造であった.hcp構造をとるCo-Pt合金膜は大きな垂直磁気異方性をもつのに対して,fcc構造をとるCo-Pt合金膜の垂直磁気異方性は(111)配向でも(100)配向でも非常に小さいことが明らかになった.そして,Pt含有量が30%前後のときに垂直磁化膜が得られた.Pt含有量が30%前後のCo-Pt合金膜の結晶構造は作成時の基板温度にも依存し,基板温度を200℃以上に上げるとhcp構造からfcc構造に変わった.それにともなって垂直磁気異方性が大きく減少した.垂直磁気異方性はPt下地層の厚さにも依存し,200nm以上の厚さで垂直磁化膜になった.金あるいは銅を下地層に用いた場合にも,それらの(111)配向性が十分高ければその上に(0001)配向したhcp構造のCo-Pt合金膜が成長し,垂直磁化膜が得られた.このようにして作成したCo-Pt合金垂直磁化膜の保磁力は0.3から0.5kOeであった.保磁力を向上させるために第三元素を添加した.クロムを少量添加すると保磁力が0.8kOe程度まで向上したが,垂直磁気異方性が若干低下した.また,アルミニウムや酸化アルミニウムを添加すると垂直磁気方性が大きく低下した.
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