Pulse Scanning C-V方式はMOSダイオードのC-V測定において、バイアス電圧をパルスで印加し、パルス印加時間における担体発生量をパルスの立上り・立下り時の容量測定から求める方法である。従来のC-t法は担体発生量を空乏層の変化から測定しているが、本方式の特徴である空乏層幅の変化が殆ど認められない担体発生量(3E10個/cm^2)の測定が可能な高感度測定法を構築し、所期の目標が達成出来ることを昨年度に確認した。 昨年度補助金を得て温度特性測定可能なウエハープローバを導入し、低温度測定を行う事により、熱起因担体発生量が2桁減少することを確認した。しかし、測定系内の水蒸気(湿気)により結露(結氷)を生じ安定性に問題が生じたので、乾燥空気導入システムの付加と同軸ケーブル端子の改良など雑音対策を多数行い、安定した測定システム構築へ向けての改良を施した。 本年度は更に、照射赤外波長スキャンの制御のパソコン制御システムを構築した。これにより、印加電圧・温度・光エネルギーをパラメータとした自動測定を可能とする測定システムを構築した。 ここで構築した測定システムを用い、様々な評価用試料(TEG:Test Elements Group)を用いて本システムの測定・評価能力の有用性を確認した。即ち、選択酸化を用いず作製したTEG、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、重金属汚染したTEG等の測定・評価を行った。これらにより、製造プロセス起因や重金属による担体発生機構の測定・評価を短時間で総合的に行えるシステムである事を確認し、超LSIの開発促進にも寄与しうることを確認した。
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