研究概要 |
スイッチト・キャパシタ(Switched-Capacitor,以下SCと略記)回路は,高速でキャパシタ回路を切り替えることにより,エネルギー変換や信号処理を実現するものであり,コイルレス・トランスレスの回路構成が可能である点に特長がある. 本研究では,SC方式の電荷移送手段により構成したフローティング電源を実現し,この電源上で動作する非接地(フローティング)形のスイッチの開発及びその応用について実用化研究を行った. フローティング・スイッチとしては,トーテムポール回路の非接地側スイッチのように非定常的に接地されるスイッチは除き,常時非接地状態で動作するもののみを取り上げ,そのような回路を調査研究し,直流回路および交流回路において,従来のフローティング・スイッチに比べ,優れた回路を提案し,その基本特性をシミュレーション及び実験から明らかにした. 直流回路におけるフローティング・スイッチの応用例として,蛍光灯を直流電源で点灯する電子点灯回路を実現し,コイルレス・トランスレス方式で良好に点灯できることを示した(論文1).また,このスイッチを用いて構成したリング形DC-DCコンバータを提案し(論文2),さらにそれを発展して多出力DC-DCコンバータおよびAC-DCコンバータを実現し,その高効率・低雑音特性を解析的および実験的に明らかにした(論文3,5および6). 交流回路におけるフローティング・スイッチの応用として,商用電源の高精度パワー・コントロールを行う回路を実現し,100V,数Aの負荷を,数100kHzの高速クロックでON/OFF制御可能であることを明らかにした(論文4).
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