研究概要 |
本研究では,高速無縁LAN実現の基本的な技術開発を可能にする超高遅延時間分解能(サブナノ秒)を持つ屋内遅延プロフィール測定装置の実現を目指し,装置の開発に重点を置き,検討を行った.しかしながら,装置開発の要である高速論理回路用いたM系列発生器を中心とした回路設計に手間取り,研究機関内の装置完成を達成できなかった.しかし検討を続行し,鋭意,装置完成に向け研究を継続する.装置の設計段階における検討において,(1)反対称M系列符号の使用により複数送信点による送信ダイバーシチ効果の検討を同時に検討できる,(2)その際の振幅ダイナミックレンジに損失がないことが明らかになった. 一方,本研究の成果を応用する屋内無線LANシステムの計算機シミュレーションについて検討を行った.これは,これまでの計算方式を更に拡張し,屋内全体に亙って計算機シミュレーションを可能にするもので,本年度,導入した仮想並列計算機を利用する事で可能になった.これまで長大な計算時間の必要な計算機シミュレーションを32個のPentium II 450MHz CPUを持つ16台の計算機を同時に使用する事で,計算時間を短縮し,耐多重波変調方式を適用した10Mb/sを超えるLAN方式の検討を行う事が可能になった.その結果,従来方式では指向性アンテナを用いて,見通し伝搬を確保しなければ,10Mb/sを超える通信を屋内全体に亙って実現する事は不可能である事が判明したが,研究者らが提案する耐多重波変調方式(PSK-RZ)と人工的なフェージング(Active Fading)を組合わせる事で,部屋全体に誤り率1x10^<-5>を確保できることを明らかにする事が出来た.これには遅延波を含めた屋内電波伝搬特性を含めた動的な計算機シミュレーションの実現で可能になったものであり,本研究の成果として期待される屋内におけるサブナノ秒代の伝搬遅延特性測定結果の応用が期待される.
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