研究概要 |
近年脳神経科学の分野に多くの研究者の関心が向けられつつあり,分子生物学,電気生理学,コンピュータトモグラフィー等の信号処理技術によって,そのデータ取得技術の面での進歩が目覚ましく、高レベルの脳の情報処理、すなわち人間の意識,思想といった精神活動に対応した脳の領域ごとの活動まで時間・空間時に高分解能のデータとして把らえられつつある。このような人間の脳の高次の機能における非数値的と言える情報処理の本質を理解するため、そのモデル化、情報抽出のアルゴリズムの開発が求められている。また、人間の情報処理の複雑さから、特定の刺激と行動に着目して単純化した他の脊椎動物についての神経行動学の研究も盛んになってきている。 このような背景の基に、本研究では、脳の情報処理について人間の睡眠時の脳波データを用いてレム/ノンレムの睡眠状態や睡眠の深さを知る手法の研究を行った。さらに、人間の高度な脳のしくみを知るために、逆に単純化したものとして脊椎動物としては最も下位にある魚の脳に着目し、その神経と行動を繋ぐ信号処理の研究を行った。さらに、生体信号と同様の非定常性を有するものとして変調信号を考え、スペクトル拡散変調に関する研究とその移動無線通信への適用研究を行った。
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