研究概要 |
最近,8層から16層の大変複雑な多層から成るプリント基板が使用されるようになり,多層プリント基板のハンダ付け不良を検査する方法として,多層プリント基板の内部を3次元可視化したい,という社会的な要請が高まっている.本研究の目的は,多層プリント基板のような3次元物体の内部を,極少数方向の投影データより3次元画像として再構成する『局所再構成定理に基づいた3次元CTの手法』を創出しようとするものである.そのために,本研究では,対象物体にウェーブレット関数に基づいた標本化モデルを導入して,各画素に対してその画素を中心とする局所領域を考えて,局所再構成定理に基づいてその画素値を再構成計算するものである.投影データを採取する方法として各種の3次元スキャン方式を検討し,プログラムの開発を行い,画像再構成の実験と誤差評価を行った. 先ず,局所再構成定理が成立する3次元物体モデルとして標本化定理を満たすMayerウェーブレット関数を導入して,3次元対象空間に対して17方向からの平行ビームを透過して,各画素について局所領域を設定して連立方程式を立てた.これを行列表現し,特異パターンが有効な範囲で特異値を打切る「打切り特異値分解」を行った.その結果を用いて一般逆行列を算出した.同様にして以下の画素についても局所領域を設定し,打切り特異値分解を行って,その一般逆行列を算出した.これらの部分的な一般逆行列から全体的な一般逆行列を構成して,計算機シミュレーション実験により3次元画像が再構成されることを確認した.次に,物体投影モデルのパラメータを変えて再構成実験を行い最適条件を究明した.投影値に低激を積和計算するだげで,誤差二乗和が最小な大型の3次元画像(128×128×32) を良好に再構成できることを,実験的に確認することができた.
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