研究概要 |
平成10年度は計測システムの構成,画光学系像センサの設計,の及びデータ処理用プログラムを製作した.計測システムの構成を決めるために,鏡面物体に適用できる三角測量式を導き,シミュレーションを行った.そして,その結果に基づき,光学系と画像センサの設計・製作を行った.光学系はレンズと遮光マスクから成るものである.遮光マスクにより,画像センサヘの入射角度を限定し,鏡面物体の測定を可能にした.また,画像センサは電子回路により,スポット光の重心位置を求めることを基本原理としている.本画像センサは分解能と測定範囲を任意に決めることができ,これにより測定装置の制約が軽減される.さらに,予備実験も終わり,本提案原理の実現可能性が確認できた.以上の結果より,次年度に向けた準備が整った. 平成11年度は実験による提案方法の検証と従来法との比較検討を行った.測定対象は平板と円柱の鏡面物体,凹面と凸面からなる鏡面物体,および平板と円柱の拡散物体であった.その結果,従来スリット光投光方式では測定が困難とされていた,鏡面物体の形状測定に成功した.その測定精度は比較のために行った拡散物体とほぼ同程度であり,その有効性が確認できた.また,測定対象からの反射光の光強度を測定することにより,測定対象の光沢度も測定できた.実験では,完全鏡面である鏡,半鏡面物体であるアルミニウム,完全拡散物体である木などの光沢度を測定し,本研究の方法でそれらの光沢度が把握できることが明らかとなった.本研究の方法は従来の画像を用いる受動的な方法に比べて,測定環境に多少制約があるものの,測定精度や信頼性の面で優れた特性を示し,工業的な鏡面物体の形状測定や光沢度測定に有望であることが明らかとなった.今後は,スリット光の戦略的な投光法を検討して,測定時間の短縮に取り組む予定である.
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