研究概要 |
[1]1/fゆらぎの機能的複雑性に関する研究成果 1/f^vゆらぎの複雑さの測度として,自己相関関数を用いて時系列上に機能的な長さの単位を定義し,その単位長さにおける多様度を定量的に定めるshort-time information entropyを提案した。また,相互情報量がある一定の値に減少するまでに生成されるエントロピーを複雑さの指標として導入した。本測度および本指標は,1/fゆらぎで最大になることを示した。1/fゆらぎの機能を探る試みとして,時系列の真似ゲーム,確率的ニューラルネットワークによるTSP問題の解法に1/fゆらぎを適用し,有効性を示した。 [2]1/fゆらぎの統計的性質・分類について 1/fゆらぎをその生成メカニズムにより分類する方法として,高次の相関関数を用いて,系の詳細釣り合いの周りのゆらぎの分散を時系列の時間反転性から導くことによる方法,また,相関積分を用いて時系列のフラクタル次元を調べることによる方法を提案した。白色雑音の1/2階積分,線分の分割、およびカオスにより作成した1/fゆらぎ時系列に本方法を適用し,1/fゆらぎに様々な種類があることを見出した。 [3]1/fゆらぎの応用 1/fゆらぎを照明,空調等の家電製品へ応用することを念頭に置き,1/fゆらぎを刺激に用いたときの効果に関しての検討を行った。また,1/fゆらぎの電子ゲームへの応用、平衡機能評価試練システムへの応用を提案した。 [4]1/fゆらぎの発生方法 従来,素子精度を要求するアナログ回路に依っていた1/fゆらぎ時系列の発生回路として,論理ゲート,フリップフロップ等による簡単な回路構成のディジタル回路を考案した。本回路は集積化が容易であり,超小型,低価格の1/fゆらぎ発生器が得られる。また,同様の簡単な回路構成の,1/f^αゆらぎ時系列を発生するディジタル回路も考案し,空調制御への応用に関して検討した。
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