研究概要 |
視覚情報をフィードバックして,運動を制御することは人間のもっとも基本的かつ重要な能力であり,実際の応用も多岐にわたっている.またラグランジアンダイナミクスや剛体運動の変換といった注目を浴びている非線形特性を視覚フィードバック制御システムは有しているため,非線形制御理論による解析を行うことは重要である.本研究ではロボットマニピュレータなどの機械システムのロバスト視覚フィードバック制御に関する研究を行った.とくに消散システム理論に基づいて,視覚フィードバック制御系の安定性およびL_2ゲインによる外乱抑制性能の解析について考察した. はじめに視覚フィードバック制御システムの特徴をとらえるために,平面マニピュレータの視覚フィードバック制御問題を,画像面上の点座標の原点における安定化問題に帰着させ定式化した.そしてマニピュレータダイナミクスの受動性と,2次元回転変換の性質を利用することで,漸近安定性を保証する制御則を導出した. つぎに静止対象の仮定を除くために対象の未知運動を外乱入力と考え,L_2ゲインによる制御性能解析が視覚フィードバック制御において重要であることを提案した.ここでL_2ゲイン解析における消散不等式の解を視覚フィードバックシステムのエネルギー関数を利用して直接構成可能であることを示した.またマニピュレータのダイナミクスモデルのパラメトリックな不確かさに対するロバストな安定性と制御性能を保証する適応H_∞視覚フィードバック制御を提案した.
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