研究概要 |
今日における設計では,設計対象である人工物を構成する要素については,その特性やデータがコンピュータに蓄積されている場合がほとんどである.このような要素をうまく接続することによって,設計目的である仕様を満足する一つの人工物を構成できるが,このような人工物設計における人間のもつ発想と包括的能力を,「創発」の概念を用いて数理化しようとするものである. 本研究では以下の事項について研究を行った. 1.創発的設計手法の定式化 創発の概念を導入することで人工物設計に関する新しい方法論を定式化した.また,より進歩的な試みとして,人間の創造的過程の定式化を行い,創発的設計論との関連を考察した. 2.進化的計算手法による不確実性を含む設計問題へのアプローチ 創発的設計手法は,環境や仕様不確実な要因を含む設計問題に対して特に有効であると考えられる.このような問題の定式化を行い,特に進化的計算手法を用いた場合について理論的考察を行った. 3.強化学習エージェントの内部状態空間の適応的構成 設計問題が困難な場合として,人工物の動作環境に関する知識を先験的に得ることができない場合が考えられる.ここでは,離散的な状態とその状態に対する行動の組を要素として,ロボットの状態空間を適応的に構成する創発的手法について考察した. 4.マルチエージェントシステムの設計 ここでは,自律的に動作するエージェントを要素として,マルチエージェントシステムを構成する問題について考察を行い,これをスケジューリング問題に適用した.
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