研究概要 |
本研究では,取得した画像データの軌跡より動特性モデルをリアルタイムに構築することにより運動の認識や予測を行い,適切な制御を達成する制御系設計法の構築を目的とした.理論的には,運動認識のために出力データに基づくファジィ適応同定法を提案し,計測自動制御学会論文集ならびに電気学会論文誌に発表した.さらに,運動制御のために,非線形システムの適応制御器と線形システムのロバストコントローラであるPID+Qコントローラを提案し,International Journal of Controlに発表した.また,実験面では,ボールプレート実験装置のボールの動きから装置のアクチュエータ部分の非線形要素を適応的に同定する方法を提案した.さらに,ビデオトラッカーを用いたクレーンリフタの振れ止め制御をPID+Qコントローラにより行い,提案したコントローラの有効性を明らかにし,IMEKO World Congressおよび第8回計測自動制御学会制御技術シンポジウムにて発表した. 本研究で明らかにした結果はつぎのようにまとめられる.(1)認識のための非線形システムの時系列データからそのシステムパラメータを同定するために,リッカチ方程式に基づく適応アルゴリズムを提案し,ボールプレート実験装置の入力部分の非線形要素の同定ならびに電力系統の適応安定化制御に応用し,その有効性を確認した.なお,計画していたBehavioral Systemへの適応制御系設計法の拡張については,結果を残すに至らなかった.(2)機器制御のためのロバストコントローラとしてPID+Qコントローラを提案し,その設計条件として,ノミナル性能回復条件を考案し,ビデオトラッカーを用いたクレーンリフタのビジュアルフィードバック制御を行い,その有効性を確認した.
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