研究概要 |
付着は鉄筋およびコンクリートの構成則に続く第3の構成則であり,コンクリート構造物の変形解析を行うためには,精度良い付着構成式が必要となる。鉄筋とコンクリートの付着構成則は,付着応力-すべり関係で表され,今までにいくらかの付着構成式が提案されている。しかし,既往の研究から時間の経過とともに付着力が低下することが報告されているにもかかわらず,時間の影響を考慮したものはないのが現状である。本研究の目的は,持続荷重下において付着構成則に及ぼす時間の影響を明かにし,それを考慮した付着構成式を定式化することである。 コンクリートの鉄筋に対する付着メカニズムは,鉄筋のふし前面のコンクリートがふしに対して抵抗するものであるが,このときのふし前面のコンクリートは極めて大きな支圧応力を受ける状態となる。また,応力状態としては3軸状態を考慮しなければならない。したがって,精度の良い付着クリープモデルを定式化するためには,3軸応力状態の高応力下におけるコンクリートのタリープ特性を知ることが必要となる。そこで,動的材料試験機を用いて高応力下におけるコンクリートの時間依存性試験を行った。3軸状態にするために,油圧ジャッキを新規に作製する載荷フレームに組み込んで用いた。実験条件は,コンクリート強度,持続荷重の大きさ,側圧の大きさを変えたものである。実験結果と解析結果を踏まえて,時間依存性を考慮した鉄とコンクリートの付着モデルを構築,提案した。
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