研究概要 |
本研究はプロビットモデルの新たな理論展開と実用化への検討を目的として,昨年度は推定上課題であった選択肢数の設定問題を中心に,プログラムのハイブリッド化や合理的な設定方法の考察を行ってきた.また経路選択以外の交通選択問題への適用についても,その基礎的な定式化を検討してきた.本年度は,プロビットモデルだけでなく,これと同様に選択肢間の類似性を考慮できるMixed Logit Modelも研究対象に取り上げて,日帰り観光目的地選択モデルを対象として誤差の発生機構を考慮した選択肢間の類似性の表現方法について,実選択データによる妥当性の検証を通じて再検討した. 目的地選択モデルは従来から選択肢集合の設定が困難であり,その問題の生じないロジットモデルが適用されてきた.しかし,このモデルは観光目的地選択のような類似した属性を有する目的地が近接しているケースへの適用は問題があり,より精緻な推定に向けて選択肢間の類似性を考慮できるモデルの適用が検討され始めている.この場合,分析者側がより合理的に選択肢集合を設定するための方法論が必要となる.本研究では,選択肢間の類似性を目的地の方向と圏域で定義した誤差項の定式化を行い,観光目的地の配置の関係による誤差構造の変化を整理した.また,日帰り観光地選択データを利用して,選択肢数の変化,選択肢集合に含まれる観光地の位置関係によるモデルの推定特性を把握し,合理的に選択肢集合を設定できる条件を基礎的に検討した.
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