研究概要 |
本研究では,高速交通体系の整備効果分析という土木計画的課題に答えるために,1)都市システム,2)知識生産における外部経済性,3)地域間の人的交流を明示的に考慮した都市システム成長モデルを構築した.これにより,1)地域間の経済格差,2)人口の大都市集中,3)地域間交通量,4)都市圏の地価の動向を都市システムの発展過程と結びつけて分析した.また,高速交通体系の整備が都市システムの発展に及ぼす影響を検討するための分析枠組みを提案し,その実証分析を遂行した. 初年度においては,主に本研究の目的を達成するために必要となる,基礎的なモデルを構築した. 具体的には,各都市が高速交通網で連結されている都市システムの成長過程をモデル化した.各都市の都市構造を都市経済モデルで表現するとともに,都市システム全体の発展過程を経済成長モデルで表現した.都市間のコミュニケーションが知識生産を行う企業の最適化行動の結果として実現すると考え,交通システムの整備が都市システムの成長過程に及ぶ影響を把握できるような分析モデルを提案した.このモデルは次年度で提案する総合的な都市システム成長モデルのプロトタイプとなるものである. 次年度には,初年度に構築したプロトタイプモデルをもとに実用的なモデルへと拡張を行い,あわせて実際のデータを用いた実証分析を行った.初年度に作成したプロトタイプのモデルをさらに拡張し,実証分析に使用できるような実用的な都市システム成長モデルを提案した.現実の都市システムの発展過程と交通システムの整備状況について実証的な分析を試みるために,高速鉄道システムや航空網システムと都市成長過程の関係を分析した.
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